就労継続支援A型とは
「就労継続支援」という言葉を知っていますか?
就労系の障害福祉サービス(=障害や難病のある方の就労を支援する事業)の1つです。まず、「就労移行支援(=訓練の場)」と「就労継続支援(=働く場)」に分けられ、中でも「就労継続支援」には、2つの種類があります。
就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
---|---|---|---|
雇用契約 | なし | あり | なし |
関 係 | サービス利用者 (利用料を支払う)(注1) | 利用者であり従業員 (工賃を受け取る) | サービス利用者 (工賃を受取る) |
月平均収入 (H27年度・厚生労働省) | – | ¥67,795 | ¥15,033 |
対 象 | 18~65歳(注2) | 18~65歳(注3) | 年齢制限なし(注4) |
利用期間 | 原則2年 | 定めなし | 定めなし |
(注1)無料になるケースも多くあります。厳密に言えば、「障害福祉サービス利用時の自己負担は、所得に応じて次の4区分の負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません。」ということなのですが、相談員さんなどに事前に相談や確認をしましょう。
(注2)就労を希望する65歳未満の障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者。具体的には次のような例が挙げられます。
(1)就労を希望する者であって、単独で就労することが困難であるため、就労に必要な知識及び技術の習得若しくは就労先の紹介その他の支援が必要な65歳未満の者
(2)あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又は灸師免許を取得することにより、就労を希望する者
(注3)企業等に就労することが困難な者であって、雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能な65歳未満の者(利用開始時65歳未満の者)。具体的には次のような例が挙げられます。
(1)就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
(2)特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
(3)企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
(注4)就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される者。具体的には次のような例が挙げられます。
(1)就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
(2)就労移行支援事業を利用(暫定支給決定での利用を含む)した結果、B型の利用が適当と判断された者
(3)上記に該当しない者であって、50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
就労継続支援A型って具体的にどんなところ?
就労継続支援A型の利用者さんは、サービス利用者であり、従業員です。見学させていただいた「ウインワークス株式会社」は、「ウインナック株式会社」に併設されており、バリ取り作業に主に取り組んでいます。基本的な勤務はフルタイム、日に8時間労働、週5日勤務です。作業場にはスタッフ(支援員)もおり、一緒に作業をされています。
流れ作業、また班ごとにチームで作業に取り組んでおり、比較的シンプルな作業、難しい作業など分かれている中で、それぞれができる作業を責任を持って黙々と取り組んでいるそうです。
就労継続支援A型は、雇用契約を結び、勤務時間によって雇用保険も加入します。最低賃金も保障されます。「A型=障害福祉サービス=作業レベルや量が易しい」と考える方もいるかもしれませんが、「最低賃金が適用される=仕事の質やレベルは水準以上」ということです。
ウインワークス株式会社では、手話のできる方がいること、駅から送迎バスが出ていることなど配慮も感じる一方、高い集中力で仕事に励む姿は、スタッフ(支援員)と利用者の違いが全く分からないほどでした。
業務内容は、事業所によってさまざま
就労継続支援A型といっても、取り組んでいる業務内容は、DTPや印刷、クリーニング、製パンなど1つ1つ全く違います。また得られる配慮という部分も各自の特色があります。
自分にとって必要な配慮は何か?
「一般就労は、まだ自分には難しいかもしれない」と考え、就労継続支援A型を希望される方も少なくないと思います。ただ、その時に「自分が配慮、フォローしてもらいたい部分はどこなのか?」という問いの答えを持っている必要があるかもしれません。
配慮してもらいたい部分が、例えば「仕事に行く気になれない日があるので、たくさん休みが欲しい」というようなものの場合は、アルバイトや請負といった業態での勤務なども考えられます。「何をフォローしてもらいたいか」が、はっきりしていると、求めているアドバイスや結果も得られやすいはずです。