コグトレ®(Cog-Tr)

知的障害、発達障害、精神疾患の診断があるなしに関わらず、社会生活の中で困っている人はありますよね。むしろ、自分は何も困っていないという人を見つけることの方が難しいことです。診断には至らないけれども、困っている人のことをボーダー(=診断がつくかつかないかの境界にいる人)と呼ぶことがあります。本人の困り感は、ボーダーにいる人が最も強いかもしれません。

子どもだったり、ひきこもりや入院期間のある方の場合、社会経験を充分に積むことができずに、困った時にどうすれば良いのか、そもそも自分が困っているという状況に気付けない、むしろ困っている状況を周囲に気付かれないように隠そうとしてしまう、SOSを隠してしまうなんて恐ろしいことですよね。

コグトレってどういう意味?

困り感の強い人たちは、学習面や生活面で共通した課題(=認知機能の弱さ)をもっています。これからの社会で困らないように、これらの課題に対して認知面から支援するトレーニング、それがコグトレです。

コグトレ®(Cog-Tr)には、「学習面」「社会面」「身体面」の3領域があります。それぞれのトレーニングを積み重ね、困り感に認知面からアプローチしていくことが可能です。

学習面認知機能強化トレーニングCognitive Enhancement Training
社会面認知ソーシャルトレーニングCognitive Social Training
身体面認知作業トレーニングCognitive Occupatinal Training
日本COG-TR学会より引用

下記に紹介する「ケーキの切れない非行少年たち」は、大きな話題を生みました。問題行動を起こしてしまう子どもたちは、認知(=見て、感じて、判断したり解釈したりすること)が歪んでいて、世界が歪んで見えているというメッセージは衝撃的なものでした。

具体的にはどういうもの?

単に国語や算数のプリントというわけではなく、パズルになっていたり、社会面のトレーニングでは、生活場面が題材になっていたり、さまざまです。取り組む意欲が沸くような設計であり、取り組む時間を1回5分など短時間に定めていることが多いです。

最近では、コグトレのアプリも開発されています。※コグトレ デジタル さがし算 初級

図形を見たまま写したり、読み上げた数字を記憶して書き出したり、「みる」「聞く」力を確認することができます。認知(=見て、感じて、判断したり解釈したりすること)のどの部分が、どれだけ、どのように、自分の捉え方と実際と異なっているのか確認し、トレーニングを重ねていきます。

自立支援教室ひだまりカフェでも、コグトレを活用しています。学校など教育現場で活用されている事例をよく聞きますが、精神科デイケアなど精神保健の中でも活用しているところはあるようです。

自宅でも挑戦することができるツールなので、まずはやってみる!というのも楽しいかもしれません。



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